アジャイルと目標設定

4行まとめ

  • 本人の納得して、明確で高い難易度と高速なフィードバックがある目標設定が効果的
  • 人事評価は知らん
  • アジャイル宣言の「計画に従うことよりも変化への対応」を思いだせ
  • アジャイルなら適切な長さの目標設定を考えて欲しい

目標設定とは

モチベーション向上につながる 目標の存在はモチベーションを上昇させ、パフォーマンスを上げます。 1960年代にEdwin Lockeが提唱した、Goal-settig theory of motivationにおいて、目標設定は業務へのモチベーションを高く保ち、パフォーマンスを向上させるために必要不可欠とされています。Goal Setting Theory of Motivation

事実、金銭的なインセンティブがない状態にも関わらず、目標の設定を行ったグループの方が、そうでないグループに比べて、12〜15%パフォーマンスが高い事が研究によって明らかにされています。The Impact of Goal-setting on Worker Performance - Empirical Evidence from a Real-effort Production Experiment

本人が納得している目標については、曖昧な目標よりは明確な目標のほうが、また難易度の低い目標よりは難易度の高い目標のほうが、フィードバックが遅いより早い方が結果としての業績は高い、ということが確認されている。本人が納得していない目標は逆に業績の低下を招く可能性もある。 チームでも同じように、明確で高い難易度と高速なフィードバックに納得していれば、結果として高い業績を上げることができると思われる。

人事評価と目標

 人事評価として、目標設定を行う場合は大抵の場合はジレンマが発生する。目標を達成しなければ給料が下がるが、低い目標を立てては意味がない。メンバーは給料を優先するため低い目標を立てようとして、高い目標への本人の納得を得ることが難しくなる。何とかするのがマネージャーの手腕かもしれないが、少なくとも今まで全ての人に納得できる目標を立てさせたマネージャーにあっていないので9割のマネージャーが本人が納得していないか、緩い目標を立てていると思われる。

 可能であれば人事評価を本質的な能力の有無によって決めて目標設定と切り離し、目標設定をメンバーのモチベーションの向上にフォーカスするべきです。

アジャイルで目標

 長期的な未来を予測することは難しいということを前提にアジャイルをしている。アジャイルは計画をしないわけでも目標も定めないわけでもない。1年先の目標を立てたとして、52週間も先に結果がわかることになる。1週間スプリントなら52回も先で1ヶ月スプリントでも12回も先の話である。その頃には目標で立てていたことは、十分にできているか、目指すべき目標になっているはずだ。1年は明らかに長すぎる。アジャイル宣言でも、「計画に従うことよりも変化への対応」と言っている。陳腐化しているか間違っている目標を1年間も掲げるよりも変化への対応を行って柔軟に切り替えていくべきである。柔軟に切り替えていくことができない環境の場合は一年もの先を見通せないので、年間目標を立てたとしても曖昧な目標を立てることになる。曖昧な目標は、目標設定としては意味がないわけではないが効果的ではない。

 最適な長さは、スプリントと同じ程度だと思われる。良い目標であれば次のスプリントでも続ければ良い。そのときそのときに集中すべき目標は何なのかを考え続けましょう。目標は明確で高い難易度と高速なフィードバックが可能で、他の注力すべきでない目標から後ろ髪を引かれないようにすべきだろう。